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庇の役割と種類を紹介
庇の役割
庇を取り付ける事で、日射しを遮る効果と外壁の汚れ防止、雨水の侵入防止などの対策ができます。建物が完成してから後付けできるタイプもあり、シンプルなものやデザイン性のあるものから選べる庇は、雨の多い日本ではとても重要な役割を果たします。
夏の日差しを遮る日よけ対策
夏の強い日射しを遮る役割を持つ庇は、開口部の上に取り付けておくことで、太陽光が部屋に直接侵入するのを防止。窓に取り付けた場合は、太陽光を遮ることで室内の温度の上昇を抑え、紫外線からフローリングの焼けを防ぎ、冷暖房の効率をよくすることができます。玄関ドアに取り付けた場合には、紫外線によるドア表面の劣化防止や日射しで把手が熱くなるのを防ぐことができます。
雨垂れによる外壁の汚れ防止対策
玄関の枠まわりやサッシの上部など、壁面より飛び出している部分には砂ぼこりなどの汚れがたまりやすくなります。雨が降ると外壁から流れてくる雨水によって、砂ぼこりが一緒に流されて外壁に汚れを残してしまいます。庇を取り付けて開口部の上部に直接水が来ないようにすることで、雨水による汚れを防ぐことが可能です。窓やドアの幅よりも大きなサイズの庇が使われることが一般的で、出幅は少なくても雨垂れによる汚れは防止できます。
開口部への雨の侵入防止対策
庇を取り付けることで、ドアを開けた瞬間に上部からの雨水がかからないようにすることができます。庇のない玄関の場合、壁伝いに雨が落ちてきてドアの開閉時に濡れてしまう恐れがあり対策が必要です。出幅が大きいほうが正面からの雨を防げるので、ドア幅に合わせて出幅3尺(90cm)位の庇を取り付けることが多いですが、現場の状況によって、軒の出がある場合などには、出幅の違う庇を取り付けることがあります。
庇の種類
後付けできる庇には、大きく分けて2つの種類があります。大きいものや重量のある庇でも取り付けることができる吊り下げタイプと、軽量で壁面だけの固定で簡単に取り付けることができる壁直付けタイプで、それぞれの特徴を紹介します。
吊り下げタイプ
出幅が大きいものや、重量があるものなどをサポートポールで支えて取り付けするタイプの庇です。壁面だけの固定では、重量によって固定ができないため、上部の壁からサポートポールで吊り下げています。自重の大きいガラスタイプや出幅の大きなアルミニウム製の庇も、ほとんどが吊り下げタイプです。吊り下げタイプの庇を後付けする場合、木造や鉄筋コンクリート造の建物は工事しやすいのですが、鉄骨造の場合には、事前に下地を入れておく必要があります。
壁直付けタイプ
壁面にのみ固定するために、サイズや形が制限されてしまいます。後付けできるものは一般的にはアルミ製が多く、ガラスやポリカーボネート製のものは強度上の問題でありません。壁面に固定金具を取り付け、庇本体を固定しているので、取り付けが簡単におこなえます。アルミニウム製の庇は、軽く強度もありますが、屋根からの落雪などによってダメージを受けてしまうこともあるので、地域によっては取り付けに注意が必要です。
デザインも大切!素材で選ぶ庇の選び方
素材ごとのデザインの特徴
デザイン性のあるガラス・ポリカーボネート製の庇と、シンプルなデザインのアルミニウム製の庇があります。ガラス製の場合、透明感のある庇になりますが、アルミニウム製の場合は、サッシカラーに合わせた色や木目のシートが貼ってある仕様もあり、バリエーションが豊富です。
アルミニウム製
一般的に多く使われている庇です。日射しは完全にカットして光が入らないですが、耐久性・耐食性が高いので、沿岸の住宅でも取り付けすることができます。シンプルなデザインのものが多く、窓やドアと合わせた色や、木目の庇でコーディネートすることも可能です。LEDライトが内蔵されたタイプもあり、スリットが入った庇は夏の高い位置からの日射しはカットして、冬の低い位置からの日射しを取り入れる機能がある庇もあります。
ガラス・ポリカーボネート製
直接の日射しを抑えて光も通してくれる素材の庇です。透明感がありデザイン性は高いですが、壁面に直接固定することができないので、吊り下げタイプの製品になります。ポリカーボネート板は厚みのあるものが使用され、ガラスには安全性の高い強化ガラスが使用されています。シンプルな住宅の玄関に取り付けるのには向いていますが、上部の壁からサポートポールで吊るして支えるので、取り付け位置に下地が必要で、障害物がないことが大切です。後付けする場合でも事前に細かい打ち合わせをしておく必要があります。
後付けできる庇の特徴とメリットは
特徴とメリット
建物を建てた後でも簡単に取り付けることができる後付けの庇は、庇本体の補修や交換も可能です。台風による飛散物での破損や、屋根からの落雪による破損など、天災によって起こった被害にも対応することができます。
建物の構造体によって変わる取り付け方
後付けの庇の強度を確保するためには適切な位置に下地が必要です。木造の住宅の場合、決まった寸法で下地となる柱と間柱があるので、長いビスやコーチボルトを使って固定することで強度を確保します。鉄骨造の建物の場合には、下地となる鉄骨は建て方の前に決めておく必要があるので、壁の工事の前に庇の下地を新たに入れておく必要があります。鉄筋コンクリート造の建物は、コンクリートの面であれば取り付けがは可能です。ただし、強度を確保するためにはどの構造の建物でも、メーカーによる取り付け可否を確認してから検討するようにしましょう。
設計変更にも柔軟に対応可能
打ち合わせをして設計図通りに工事が進んでも、建物ができた後に庇が欲しくなる場合もあります。後付けできるように設計されている庇は、取り付け位置の変更や取り付け箇所の増加にも柔軟に対応する事が可能です。建物の構造によって後付けのしやすさは変わりますが、下地があれば大きさやデザインの変更はしやすくなっています。
まとめ
建物の見た目にも大きく影響する庇には、デザイン性のあるガラス・ポリカーボネート製のものと、シンプルなデザインで機能性もあるアルミニウム製の庇があります。取り付けることで多くのメリットがある庇ですが、外壁より1m以上出てしまうと1mより先の部分は建築面積に含まれてしまうので、固定資産税に影響してきます。敷地に対しての建ペイ率の状況など、出幅の大きな庇の取り付けを希望の場合は、建築士に相談するなど、事前の確認が必要です。
建物に合わせた最適な庇を後付けして、お家のグレードアップを検討してみてはいかかでしょうか。